Dam~Diary of alumni's memory~

筑波大学同窓交流研究会Damによるブログです。

アルつく第5回~現代に生きる竹かご職人、橋本さん~

Damの古畑です!

今回はアルつく5人目のゲスト、竹かご作家の橋本さんについての記事です。

まずは簡単な紹介から

橋本千菜美(はしもとちなみ)さん

つくば歴:8年

2015年 芸術専門学群美術科彫塑コース 卒業

出身:京都府

 

当日は橋本さんの思い出の場所、芸術系工房棟ループ側の原っぱで収録しました。

完全な屋外で、石がゴロゴロしているこの場所は橋本さんが学生時代石を掘っていた石彫コートのすぐ前にあり、原っぱの中で石を掘るのが好きだったとのこと。

ある日、いつものようにここで製作に取り組んでいた時、10分位コーヒーを淹れに行ったところ、携帯や財布の入ったカバンが失くなっていた、、、!

そんな「思い出の場所兼事件現場」から声をお届けしました。

 

どうして京都からつくばへ?

とお決まりの質問をぶつけたところ、彫刻が出来る大学を探しており、筑波大学の彫刻コースが自分のやりたいことにあっていた、また「茨城なんて、こういうきっかけが無いとこの先訪れないだろう」という好奇心も相まって筑波大学へ進学したそうです。

 

演劇の脚本を書くことはお手の物なパーソナリティのおさべにとっても、なんだか芸専の人たちは不思議な世界。芸術って敷居が高そうだな~とどうしても思ってしまいがちですが、

橋本さん「幼稚園の頃泥団子作ったり塗り絵作ったり皆したと思うんですけど、そういうことの延長線ですね。大学で勉強するとなるとなかなかハイレベルなイメージもあると思いますが、実際は料理して味見するの楽しい、盛り付けが楽しい、と思うのと同じで、ただ切って楽しい、とかシンプルな楽しいことを続けている世界なので一歩入ってみるとすごく楽しい世界だと思います!」

おさべ「せんすおぶわんだーって感じですね…」

橋本さん「見ているものがシンプルな人たちなので、芸専の人たちは些細なことで楽しめちゃう人たちなのかもしれません。変だな~と思われる人もいるかもしれないですけど(笑)」

 

学生時代も芸専っぽさを遺憾なく発揮し、たくさん面白い遊びをしたという橋本さん。2㍑ペットボトルで作ったいかだで松美池を横断したり、友人の誕生日にその人のポスターやポケットティッシュを本人に内緒で作ってお店で配ったり、最終的に橋本さんが作った本人の石膏像をみんなでデッサンしながらその友人を迎える、というパーティを開いたり、、、

スケールが違いすぎてただ驚きました。芸術家が本気で遊ぶと本当に面白いです。

彫刻→竹かご作家の世界へ

さて、学生時代彫刻に勤しんでいた橋本さん。現在は竹かご作家として竹かごやざるを作り、展示販売をしたりギャラリーやカフェでワークショップをするほか、副業として北条のカフェ店員土浦の農園で働く、など様々なお仕事をされています。

好奇心が強く、自分がやってみないと分からないのでとりあえずやってみている!と橋本さん。作品作りと同様、

「興味があるものをよく観察したり体験したりして自分で消化して、じゃあ自分はどうするか考えることで自分の個性が出たり、自分が作りたいものが見えたりする。それはただアートの世界だけじゃなくて、生きていく上ですごく大切なことだと思います。」(橋本さん)

一見、彫刻竹かごと聞いてもなかなか結びつかないものですが、橋本さん曰く

自然の素材を自分の手で触って形を作る、という点で彫刻と竹かご作りはすごく近くて、また自分が作ったものを人にプレゼントしたり人が使えたり出来ると、人の暮らしの中にすっと入り込めるような気がして、もっと広がりがあるという点で竹はすごく可能性のある素材」

というのも、毎年毎年大量に生えてくる竹は「取ったほうが良い」素材であり、昔はプラスチックの代わりになんにでも竹が使われていた。ザルにもかごにも、オブジェにもなる竹という素材との出会いは橋本さんにとってすごくしっくり来たそうです。

 

大学卒業後は自分が作りたいものや興味があるものを最優先にして、そこから出来ることを仕事にしたいと思い、焦る気持ちは当初はあったものの、就職はしなかったそうです。

当時興味があった「食べ物がどういう風に出来ているのか」を知るために農園に行ってお仕事をさせてもらったり鴨肉を捌いて出荷したり、ということもしていたそうです。

「自分の興味があることをやってみて、自分ができることややりたいことが人に対してどう影響を与えられるかがわかった。仕事を探すんじゃなくて自分の中から作れたら良いな、と思っていた。そうすることで濃い経験ができるので、すごく充実した毎日が送られています。」(橋本さん)

 

竹細工職人として生きる

実は現在「弟子入り」という制度はやりたくても出来るところはほとんどないそうです。というのも竹細工職人も日本に決して多くいるわけではなく、残っている職人もほとんどが80代、90代と高齢。加えてプラスチックやステンレスが溢れる現代、竹細工に対する需要もそれほど高くない。こうした背景で、職人さんは弟子を取る余裕がほとんどないため、「弟子入り」ではなく、紹介された職人さんのもとへ教わりに行くという形をとったとのこと。

 

おさべ「単純な疑問なんですけど、竹ってそんな簡単に手に入るんですか?

橋本さん簡単に手に入ります!東北地方以外ならマダケは日本中どこでも手に入るんです。しかし、(茨城とはいえ)勝手に他人の竹やぶの竹を取っていると怒られてしまうので、持ち主の方にお願いして許可をもらったところから自分で取りに行っています。

竹と言っても何でも良い、というわけではなくて、3~4年ものじゃないといけません。あんまり若いとやわらかすぎるし、5年以上経つと逆に硬い。あとは虫食いがないかとか…。そういうことを踏まえると、何百本あっても見つかるのは20~30本くらいなので色んな竹やぶの持ち主の方と繋がってあっちこっちに行っては材料にしています。」

 

おさべ「これは良い竹だな、って見て分かるんですか?」

橋本さん「やっぱり難しくて、竹って1年で竹やぶの一番上の高さまで行っちゃうんですよ。かぐや姫の話はそこから生まれたくらい、1年でぐんぐん成長して月に帰っちゃうじゃないですか。1年で10m20m育つので見極めるのってすごく難しいんですけど、皮が1年生だな、とか職人さんに見極め方を教わりながらやってます。

 

おさべ「材料にする竹の種類にもこだわりがあるんですか?」

橋本さん「竹細工にするものはほとんどしなやかで扱いやすいマダケが基本ですが、食べるたけのこみたいなモウソウチクも使うことはあります。ただすごく肉厚で硬くて難しいので、丈夫な持ち手などに使います。竹やぶにも細くて青々とした竹林と、ちょっと白くて太いような竹林など、よく見ると違いがありますね。でも今はなかなかマダケは使う場面が少ないので荒れている竹やぶが多いですね。」

林野庁/主な竹の種類

将来のアルつくに一言

自分が好きなこと、興味があること、わくわくすることを大切にして、なかなか大学にいると関わらないで終わっちゃうような地域の人達と繋がると、予想していなかった繋がりがどんどん増えて自分のやりたいことがそこから見えてきたりもするので、そういう好きなことや身近な繋がりを大切にしてください。」

 

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